心エコー図検査(心臓超音波検査)は循環器領域において最も多く用いられている検査の一つで心臓病の診断に必須のツールとなっています。診断機器の進歩による画質の向上に伴い、より詳細な心臓の形態および機能評価が可能となってきています。心エコー図検査は主に、経胸壁心エコー図検査、経食道心エコー図検査、負荷心エコー図検査の3つに分けられます。
経胸壁心エコー図検査
概要
経胸壁心エコー図検査は心臓の形態、機能、血流情報を非侵襲的で短時間かつリアルタイムに得ることのできる画像診断法です。心臓の形態的診断を行う断層法と、血流速度を測定して心機能を評価するドプラ法があります。
近年では組織ドプラ法やスペックルトラッキング法が開発され、心臓の詳細な情報を得ることが可能となっています。またリアルタイム3D心エコーにより、立体的な心臓の形態や動きも捉えることができるようになりました。
当科における経胸壁心エコー図検査の検査件数は年間12,000件前後です。
対象となる疾患
すべての循環器領域の疾患が対象となります。
- 弁膜症(僧帽弁疾患・大動脈弁疾患・三尖弁疾患・肺動脈弁疾患・人工弁)…弁の形態や弁の狭窄、逆流の重症度、人工弁の機能評価
- 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)…左室壁運動異常
- 心膜・心筋疾患(拡張型心筋症・肥大型心筋症・拘束型心筋症・心膜疾患など)…心臓の形態、心機能(収縮・拡張障害)評価、心臓同期不全(dyssynchrony)の評価、心嚢液の有無
- 先天性心疾患(心室中隔欠損症・心房中隔欠損症など)…心臓の構造
- 大動脈疾患(大動脈瘤、大動脈解離) …大動脈拡大の有無・形態評価
- 心臓ペースメーカー植え込み後…ペースメーカー機能の最適化の調節
- その他の疾患(血栓、心臓腫瘍、感染性心内膜炎、肺塞栓など)
検査方法と所要時間
主に左側臥位で検査を行います。観察部位に応じて仰臥位や右側臥位などの体位でも行います。一般的な検査時間は30分程度ですが、疾患によって前後します。


経食道心エコー図検査
概要
経食道心エコー図検査とは、内視鏡のような直径約1cmの管の先端のプローブによって食道側から心臓を観察する検査です。経胸壁心エコー図で画像不良の原因となる肋骨や肺などの影響がなく、弁や血管の状態、血液の流れなどを鮮明な画像で観察することができます。CTスキャンやMRIでは評価が困難な詳細な血流情報を得ることもできます。
また三次元画像も得ることができ、立体的な構造の把握も可能です。当科における経食道心エコー図検査の検査件数は年間500件前後です。
対象となる疾患
- 脳梗塞等の塞栓源の検索 (左房,左心耳,右心耳,卵円孔開存,心房中隔欠損など)
- 弁膜疾患(自己弁および人工弁)
- 感染性心内膜炎の疑われるとき
- 心房細動の除細動前の検査(特に左房,左心耳内の血栓検索)
- 胸部大動脈の評価(大動脈解離,大動脈瘤,大動脈硬化)
- 先天性心疾患(特に心房中隔欠損症の病型など)
- 心臓腫瘍(大きさ,付着部位など)
- 重症患者の心臓の形態・機能情報を得ることで治療方針変更などにかかわる追加情報を得ることが期待できるとき
検査方法と所要時間
絶食、咽頭の局所麻酔、鎮静剤の静脈内投与の上、プローブを食道から挿入し検査を開始します。検査の所要時間は通常30~40分程度ですが、疾患により長くなることがあります。



負荷心エコー図検査
概要
負荷心エコー図とは、何らかの負荷をかけることにより、安静時には認められなかった異常について心エコーを用いて検出する方法です。負荷の方法には運動負荷と薬物(ドブタミンやアデノシン)負荷とがあります。
対象となる疾患
虚血性心疾患、弁膜症、心筋症と対象となる疾患は様々です。虚血性心疾患については、運動やドブタミン負荷によって出現する心筋の壁運動の変化によって虚血の有無を評価します。
またアデノシン負荷前後の冠動脈血流速度を計測し冠動脈狭窄を推定します。さらに、安静時に既に虚血や梗塞によって心筋の壁運動低下を認める心筋については、ドブタミン負荷を行うことによって、心筋バイアビリティ(生存能)を評価することが出来ます。
弁膜症については、運動負荷による症状の有無、それに伴う圧較差や肺高血圧の有無を測定することにより、重症度の評価を行うことが可能です。
検査方法と所要時間
運動負荷心エコー図検査
心電図や血圧の記録を行いながら、心エコーを行い運動時の心臓の動きや血流を調べます。運動時間は個人差がありますが概ね10-15分です。
薬物負荷心エコー図検査
心電図や血圧の記録を行いながら薬物(ドブタミンやアデノシン)の静脈内投与を行い、投与前後の心臓の動きや血流を調べます。検査時間は40-60分程度です。


