不整脈の種類
不整脈と一言に言ってもその種類は多様で、放っておけば短時間で致死的になるものからそのまま放置しても問題ないものまで多くの疾患が含まれる。心筋梗塞や弁膜症、心筋症などの基礎心疾患に併発することも多いが、種類によっては基礎心疾患がない場合でも出現することがあり、また加齢とともに発症頻度は増加すると言われている。
発作時の脈の速さに応じて徐脈、頻脈と分類することもあれば、不整脈の出現部位に応じて上室性(心房性)、心室性と分類することもある。
徐脈性不整脈
徐脈性不整脈は心臓の刺激伝導系の異常により、心拍数が50回/分以下と著しく低下するものであり、その中には洞不全症候群や房室ブロック、徐脈性心房細 動などが含まれる。著しい心拍数の低下あるいは一時的な心拍停止によりめまいや意識消失発作を認める事もあり、場合によっては緊急治療を要する。また著し い徐脈が長時間持続すると心機能に悪影響を及ぼし心不全を生じることがあり、そのような場合も治療の対象となる。
状況により症状は異なるが、気分不快、胸苦しさ、めまい、意識消失などで発症する事が多い。心電図で診断されるが、発作が一過性で外来受診時の心電図で確認し得ない場合などにはホルター心電図(24時間心電図)が有用である。
薬物治療は困難である事が多く、特にめまいや意識消失発作を認める場合にはペースメーカー植え込み手術が必要となる場合が多い。
頻脈性不整脈
上室性、心室性と大きく二つに分類される。
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上室性不整脈
不整脈の起源となる部位が心房にあるものを上室性不整脈という。
上室性期外収縮、心房細動(発作性、慢性)、心房粗動、発作性上室性頻拍、心房頻拍など多種の疾患が含まれる。動悸を訴えて医療機関を受診する事が多いが、その他にも脈が抜ける感じ、胸苦しさなど、訴えは患者により異なる。
診断はやはり心電図、あるいはホルター心電図でなされる事が多い。
上室性期外収縮については症状の訴えはあっても心臓や体に悪影響を及ぼす可能性が低く、通常は治療の対象にならない事が多いが、その他の上室性不整脈については致死的になる事は少ないまでも強い動悸症状を伴うことが多く、薬物治療あるいは非薬物治療を必要とする。薬物治療では抗不整脈薬の投与を行うが、内服により症状のコントロールができない場合、あるいは根治を希望する場合にはカテーテルアブレーション(電気的心筋焼灼術)などの非薬物治療を行う。いつ起きるか分からない動悸発作に対する不安感で日常生活が制限される事も多く、また内服薬で発症を抑える事ができても永久的に内服を続ける事の負担は大きく、近年その技術の進歩により成功率が向上しているカテーテルアブレーションによる根治療法を治療の第一選択とすることも多くなっている。
心房細動は年齢とともにその発症頻度も増加し、動悸症状を伴う事も多い。持続時間が長くなると心内に血栓を生じる危険性があり、脳梗塞を初めとする血栓性合併症を併発する危険性があるため、ワーファリン、アスピリンを初めとする抗凝固療法を必要とする事が多い。 -
心室性不整脈
心室は体に血液を送り出すポンプとして最も重要な機能を果たしている部位であるため、心室起源の不整脈は時として重症化し致命的になることがあり得る。動悸症状を主訴として受診する事が多いが、上室性不整脈と同様に、脈の抜ける感じ、胸苦しさ、胸痛などの訴えも見られる。また心室性不整脈が持続することにより、心臓がポンプ機能を果たせなくなるとめまいや意識障害などを生じることがある。
その種類には心室性期外収縮、心室頻拍、心室細動などがある。心室性期外収縮などでは症状が軽くその数が多くない場合などでは治療を行わない事もある。しかし心室頻拍、心室細動については持続すると時として命にかかわる状況におちいる事もあり治療を必要とすることが多い。
その治療としては上室性不整脈同様に薬物治療と非薬物治療がある。
薬剤あるいはカテーテルアブレーションによる治療が困難な場合、あるい心室頻拍、心室細動の出現が致命的になる可能性が高い場合などには、植え込み型除細動器(ICD)を体内に植え込む手術を行うことがある。 ICDはペースメーカー同様に体内に植え込む機器であるが、その大きさはペースメーカーよりはやや大きく、心室頻拍、心室細動などの致死的な心室性不整脈が出現した際にそれを素早く検出し、体内で電気的除細動(電気ショック)を行う。ICDは重症心室性不整脈患者の突然死の予防に大きな効果をもたらすものである。