腫瘍循環器とは
腫瘍循環器診療は、がん治療と心臓の問題を両方サポートすることを目的とした部門です。
昨今がんに罹患する患者さん、そしてそのがん治療を乗り越える患者さんは増加しています。がん治療には心血管疾患(がん治療関連心機能障害、不整脈、血栓症等)を併発するものが多くあり、これらの心血管合併症ががん治療の妨げになるときや、がん治療が終了しても通院が続くこともしばしばあります。このため患者さんだけではなく、普段循環器診療を行わないがん専門医に大きな負担を課します。
そこで腫瘍循環器診療領域ではこういった患者さんや心臓を専門としない医師、医療スタッフをサポートすることで、がん患者さんの予後やQOLの改善を目指します。
当院での腫瘍循環器診療の特徴
当院では、2024年6月から腫瘍循環器診療を開始しました。大学病院の規模を活かしながら、腫瘍診療に関わる患者さん、担当医、薬剤師、看護師と顔の見える形で密な連携をし、チームで質の高い診療を行っています。たとえば診療科を超えて、各科カンファレンスへ参加を行い、毎週該当科の入院患者さんの回診を行うとともに、がん研修室での腫瘍循環器学のレクチャーなども行っております。
特に当院は、低心機能・心不全、不整脈、弁膜症(弁置換術後を含む)、虚血性心疾患、心アミロイドーシス、冠攣縮性狭心症、先天性心疾患、肥大型心筋症など、多様な心血管合併症を抱えた担がん患者さんが多く、がん治療を受けるにあたって様々な配慮が必要です。そうした患者さんに対して、私たちが積極的に関わることで、循環器学的な配慮をしたがん診療を行えるようになります。
また学会活動や治験への参加も行い、最新の診療方法を取り入れることを心がけております。
診療実績
診療開始後から新規紹介患者さんは増え続け、2026年4月までに累計133名の患者さんを紹介頂き、診療にあたっています(図1)。診療内容はがん治療関連心機能障害の発症リスク管理及び発症後の患者さんの診療が多く(図2、3)、また疾患・治療特性上、乳がん・造血器腫瘍患者さんが多い傾向にあります(図4、5)。
がん治療関連心機能障害以外にも血栓症の治療や、胸痛・息切れ・浮腫といった症状精査についても積極的に受け付けています。心疾患だけでなく、がんそのものや治療薬の特性を加味した、一般循環器診療を超えた総合的な枠組みでの診療を心がけています。

(図1)紹介患者推移

(図2)診療依頼内容

(図3)がん治療関連心機能障害リスクと発症例の特性

(図4)紹介患者さんのがん種

(図5)紹介時使用中のがん治療薬
このような方はご相談ください
- がん治療の前・中・後を通じて、抗がん剤、放射線治療による心臓への影響が心配な方
- がん治療前後に血栓症を発症された方
- 心臓の病気をお持ちで、これからがん治療を受ける(または受けている)方
※腫瘍循環器外来は毎週水曜日午前に開設しています。紹介制となりますため、主治医の先生を通じてのご紹介をお願いいたします。









